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新着情報―相模女子大学中学部高等部―

2015/2/17

【部活人】写真部「表現を通じたコミュニケーションの形」

世界二大自然フォトコンテストの一つ、『Nature’s Best Photography(NBP)』の日本大会『ネイチャーズベストフォトグラフィージャパン(NBPJ)』。この大会の2013年度ジュニア部門で、相模女子大学高等部3年 写真部の貫井真菜実さんが入賞を果たしました。


入賞作品「母の背」

貫井さん 祖母に長野県の上高地に連れて行ってもらったのですが、野性の猿が沢山いたんです。その時は必死に撮り、後で見た中からこの写真を選びました。題名は母猿が子猿を背負っていて、しっかりと守っている姿に目を惹かれたので、そこから付けました。

この作品は他の入賞作品と共に、横浜赤レンガ倉庫など全国3カ所で展示されました。

貫井さんは他にも日本写真家協会が主催する国内最大級の写真展『JPS展』20歳以下部門でも入選を果たしています。また他の部員も前年のNBPJ での特別賞、JPS展入選など、毎年のように結果を残しています。 しかし驚くことに、入部した段階では全員が初心者。活動日数が多いわけでも、特別な指導を行っているわけでもないそうです。それではどこに才能を開花させる秘訣が隠されているのか、お話を伺ってきました。

高校のみの活動。部員数は現在8名。
活動日は木曜日。
主に校内の撮影や各コンクール・文化祭用の作品制作、合宿を行う。

大会を成長のきっかけに

写真部で主に応募しているのは上記2大会。どちらも数あるコンテストの中でも大規模なものです。そこに入部したての初心者の状態で応募させるのだと顧問の関昌代先生は言います。

関先生 いきなり大きい所に出させるんです。JPS展は10年くらい続けています。NBPJに関しては世界最大級とあったので、日本最大に行ったのだから今度は世界最大に挑もうと。「さすがに無理だろう」という声もあったのですが、貫井さんと一緒に頑張って、結果が出てきた。

もちろん本人や保護者の承諾を得た上でのことですが、毎回多くの部員が挑戦しているそうです。貫井さんも高1のとき、入部したばかりでJPS展に応募し入選しています。

貫井さん 入選するとは全然思っていなかったです。写真以外でも賞をもらうということ自体が初めてだったので、すごく嬉しく、自信にもなりました。

写真を始めたばかりで、まだまだ力不足だと自覚している段階でチャレンジする。そこで想像以上に自分たちの作品が世の中に届くのだと知る。そこに、才能を伸ばす鍵があります。思いがけない評価は自信につながる。更にその自信は自分ではまだ気付かなかった才能を知ることでもあるので、成長に直結した価値の大きいものになります。






貫井さんのJPS展での入選作品『影・ I II III』


初参加から現在に至るまでJPS展には毎年応募しています。もちろんその間にも部員は代替わりするのですが、それでも毎年のように結果を残しています。しかも写真は個人での活動。それもほぼ初心者から始めて、数カ月後には大学生に混じって(JPS展は20歳以下部門なので大学生も対象)表彰されるのです。そこで大事になるのが「感性」と「インパクト」です。

『感性』と『インパクト』


2013年のJPS展には貫井さんの他、2人の部員が入選しています(写真左から日本写真家協会会長 田沼武能氏、写真部部員の大橋さん、後藤さん、貫井さん、同協会副会長 熊切圭介氏)

きっかけを与えた上で、次はどうやって成長を促すか。しかし関先生は、カメラの使い方や設定を最低限教えるのみで、具体的な指導は行わないそうです。

関先生 撮影をどんどんやることが成長につながると私は考えているんです。貫井さんも部活動の時間以外にも積極的に外へ撮影に出かけたりと頑張っています。単純に数だけではないのですが、様々な経験にもつながり、成長する上で大切なことだと思います。


貫井さん自身、誰からも撮り方は教わらず、自分で色々と試したり、撮影に行った際に周りの人を参考に独学で学んでいったそうです。

「ファインダーをのぞいたら1人ですから。誰かがシャッターを押してくれるわけではなく、最後に決めるのは本人です」(関先生)。だからこそ、正解を教えるのではなく、自分から学んでいく姿勢が作品を左右します。

関先生 今時のカメラってシャッターを押せば誰でも撮れるんですね。そこで違いを出すには、本人が何を感じているかをいかに写真に写せるかだと思います。あまり教えてしまうと頭でっかちになってしまって、いい作品にならないんですね。顧問をずっとやってきて分かってきたのは、結局本人の感覚、その時思った気持ちが乗っかっている写真が一番良くて、それが見てくださった方にも伝わることで、結果につながっていく。

技術ではなく感性を大事にすることで、予定調和でないそれぞれの個性が磨かれていく。
そしてそれを相手に伝える上でインパクトを重視します。インパクトとは、相手に自分の作品を見てほしいという意思表示です。だからこそ相手の立場を考えることが求められます。

貫井さん 自分の中でインパクトと思っていても、相手から見たら全然違うものだったりしたので、そこは難しかったです。
関先生 NBPJは審査する方が全部アメリカ人だったので、選んでくれるものがこちらと少し違うんです。そこで文化を子どもたちが感じる。直接言葉で知るのではなく、写真を通して実感できるというのは面白いなと思います。

『感性』も『インパクト』も、数値化されるものではありません。だからこそ、不断の努力が作品に大きく影響します。

言葉にならない交流


NBPJ展でNBP CEOスティーブン・フレリー氏と
 
 

写真部は総勢8人とごく小規模です。普段は部員同士で騒いだり、撮影方法を相談するということはなく、個々に撮りたいものを撮るという活動スタイルをとっています。だからこそ、そこに早期からのコンテスト参加が大きな意味合いを帯びてきます。

関先生 貫井さんの猿の親子の作品を見たときはみんな悔しがっていました。他にも、例えば先輩の作品を見て自分も撮りたい、展示してみたいとなったり。みんな自分が強いので、ある部分では誰もがライバル。それでレベルが高くなるんです。だからNBPJに応募する際も、他の部員の作品もレベルが高くてお互いにびっくりしたんです。


撮影は個人活動ですが、作品を通じた交流があります。それぞれの活躍が目に飛び込み刺激を受ける。その影響は少人数であれば尚のこと大きいものになります。その状況を作ること自体が、何よりも成長の糧になっているのです。

貫井さん 自分で写真を撮っているときもそうですが、他の人の作品を見ることもすごく楽しく、刺激を受けます。
関先生 生徒たちは一番多感な時期だから刺激してあげれば膨らむんです。現実に全然やったことがない子が入ってきて、いきなり大きな舞台に立っている。心さえ色んなものに感動したり、動いていればいいんです。言葉にならなくても、目の前にあるものを写真で切り取って、誰かが見て感動してくれたら嬉しいじゃないですか。それが部活のスタンスです。


インタビュー中、貫井さんは即座に返答するのではなく、ゆっくり丁寧に、言葉にならない部分まで深く考え、伝えようとしており、その姿が印象的でした。写真という媒体を通じて、日常に埋もれがちな情景に新たな価値を見出し、そこに観る人々が感動する。これもまた交流の一つの形です。

貫井さん 普段の学校生活では、友達とわいわいしているときが一番楽しいです。本気で笑って、すごく楽しいなと思います。

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